卵は記憶力アップに効果がある?その秘められた卵の実力はとは?
朝食に卵の良い効果
卵はとても優秀な食品ですので、多くの方が毎日食べていらっしゃるのではないでしょうか?
朝食に洋食を選ぶと、オムレツやスクランブルエッグなどが必ずついているような気がしますし、和食にも卵焼きやだし巻き卵などが付いています。
朝食によく食べられるのは、単純においしいからだと思いますが、実はとても効果的な食べ方になっています。
卵に含まれているタンパク質が、血糖値の上昇を緩やかにしてくれる効果があるからです。
またタンパク質は消化に時間がかかるため、腹持ちが良く、午前中を活動的に過ごすことができます。
卵は脳に効く!
そして、卵を食べることは脳にとても良い効果があり、記憶力を上げる可能性があると言われています。
その理由は、卵に豊富に含まれているコリンという物質にあります。
コリンとは、ビタミンB群に属する栄養素で、日本では“ビタミン様物質”と分類されている物質です。
このビタミン様物質とは、必ずしも栄養素として外部から摂取する必要がないもの、であり、必須ビタミンとは区別されています。
その結果でしょうか、日本では栄養素としてあまり重要視されていないようです。
しかしながら、このコリンは欧米ではかなり研究が進んでいるようです。
欧米での研究
コリンの研究がかなり進んでいるアメリカでは、コリンは脳内神経伝達物質のもとになる成分として、必要栄養素という位置づけになっています。
そして、ヨーロッパでもコリンの研究が進み始めています。
2012年にノルウェーのホルダラン地方で行われた研究によると、コリンの血中濃度の低い人ほど認知力が低いという報告がなされています。
こうしたコリンの認知機能維持への可能性を感じさせるデータから、ヨーロッパでは、コリンと記憶力になんらかの関係があるのではないかと研究が進められています。
コリンがなぜ脳に効くのか?
コリンがなぜ脳に効果があると言われているのかというと、コリンは認知機能に深く関係している神経伝達物質アセチルコリンの材料となる成分だからです。
そのため、コリンは認知機能の維持にも大きく貢献する可能性があるのではないかと、非常に期待されているのです。
そして神経伝達物質であるアセチルコリンは、学習過程でとても重要な働きをしていることが研究によって明らかになってきています。
私たちの脳の中にある、シナプスには、神経細胞を繋ぐ部分が無数にあり、相手の神経細胞を興奮させる「興奮性シナプス」と、相手の神経細胞を静める「抑制性シナプス」があると言われています。
この興奮性シナプスと抑制性シナプスがどのように学習過程に影響を与えているのかを、マウスによって実験を行った報告があります。
その結果、学習を行うとマウスの海馬神経細胞の興奮性シナプスの連結が強化されること、ならびに学習時に興奮性シナプスの強化を阻止すると回避学習ができないことを報告されています。
そして興奮性シナプスの連結を強化しているのが、アセチルコリンではないかと、さらに研究を進めていき、学習前後の海馬内の分泌量を測定しました。
その結果、アセチルコリンは学習中から分泌量が増加し、学習後にも高く維持されることが判明したそうなのです。
コリンを含んだ食べ物
これだけ重要なコリンですから、できれば毎日十分に体内に保っておきたいものですよね。
コリンは体内で生成されるものですが、その量はごくわずかであると言われています。
したがって、コリンをたくさん含んだ食品を食べることがとても重要になります。
コリンを100gあたりで最も含んでいる食品が卵であると言われています。
卵100グラムあたりのコリン含有量が294ミリグラムということで、スーパーに並ぶMサイズ(約50グラム)なら150ミリグラムほど含まれている計算になります。
コリンが含まれている食品は他には、牛乳、レバー、ピーナッツ、大豆に多く含まれています。
納豆などを毎日食べることもコリンを摂取する良い方法ということになります。
しかし、含有量が一番多い卵を食べることが一番手っ取り早い気がしますね。
コリンの摂取量
日本の食事摂取基準ではコリンについての定めはないようです。
コリンの研究が進んでいるアメリカの食事摂取基準では目安量として成人男性で550mg/日、女性425mg/日、耐容上限量3.5g/日ということになっています。
現在、日本人の平均摂取量は300mgと言われていますので、毎日のコリンが不足している状態ですね。
女性の場合を考えると、卵を3つ毎日食べることでコリンの摂取基準を超えることができることになります。
コリンは他の食材にも含まれていますので、毎日効率的にコリンを摂取しようと考えるのであれば、毎日卵を2~3個ほど食べるのがちょうどよいようですね。
過剰摂取について
また、コリンの過剰摂取を気にする方がいらっしゃるかもしれませんので、そちらも考えておきましょう。
アメリカの基準では耐容上限量3.5g/日になっていました。
これはつまり、3500mgということになります。
日本人の平均摂取量が300mgでしたので、今の10倍以上の量を摂る必要があります。
Mサイズの卵を20個食べても、まだ上限を超えないというレベルですので、過剰摂取についてはそれほど心配する必要はなさそうですね。
また、コリンは水溶性物質と言われているので、比較的簡単に体外に排出されるものです。
その意味でも、過剰摂取はそれほど心配する必要はないようですね。
ただし、サプリメントなどで補っている場合は、通常の食事に含まれるコリンとの関係もあり、過剰摂取になる可能性がありますので、注意が必要になるかもしれません。
しかし、コリンは卵から十分な量を摂取できるため、わざわざサプリから補給する必要もないですよね。
コレステロールについて
卵をたくさん食べると、コレステロールが上がるからあまり食べたくない、という方がいらっしゃるかもしれませんね。
しかし、卵でコレステロールが上昇するということはない、ということがわかっています。
その理由は上のリンクをクリックしていただくと、参照していただくことができます。
簡単に言いますと、体内のコレステロール量は肝臓によってコントロールされているため、食事によって摂取されたコレステロールによって、必要以上に上昇することはないからです。
もちろん卵を100個とか食べると別ですが、一日に2~3個程度ならコレステロールは問題ないでしょう。
まとめ
卵の成分にはたくさん健康に良い効果があるものが含まれているのですが、このコリンはかなりすごい成分ですよね。
記憶力を高めてくれる可能性がある成分ですから、毎日摂取していきたいものです。
そして、このコリンが足りなくならないように、食事から補うとともに、効果的に脳に届けるという意味で、運動をすることが進められています。
運動自体に脳への良い効果があることは、何度かお伝えさせていただいておりますが、血流を良くしてコリンを効果的に脳に届けるという意味でも、運動はとても重要になってきます。
血流を良くするためには、有酸素運動が効果的であると言われていますが、毎日の生活の中で、できる限り身体を動かすように意識するだけでも、運動量を増やすことは可能ですよ。