砂糖には常習性、中毒性があるから一切避けるべき!本当ですか?
砂糖はすべて身体に悪い?
最近では白い悪魔などと呼ばれることもある白砂糖ですが、それは少し言い過ぎのような気がします。
確かに砂糖、特に白砂糖をたくさん摂ることは健康に悪影響を与えます。
肥満の原因になる可能性がありますし、白砂糖を代謝するためにはたくさんの栄養が必要になるため、摂りすぎは避けなければなりません。
天然の甘味料には白砂糖には含まれていない様々な栄養やミネラルが含まれていますので、できるだけ天然の甘味料、はちみつやメープルシロップを使うということは正しいことだと言えますね。
しかし、必要以上に白砂糖を避ける必要もなく、自然に摂ってしまったり自炊しているときに使うということは問題ないと思います。
一番避けなければならないのは、白砂糖を摂りすぎることであり、これはどのような食材であっても言えることです。
白砂糖には常習性がある?
最近では日本でも砂糖に常習性や中毒性があると言われ始めていますが、それは本当なのでしょうか?
この考えはアメリカから始まっているようですが、「ニューヨーク・デイリー・ニュース」(2014年2月10日)の中にこのようなタイトルの記事があります。
甘い毒、コカインでなく砂糖が最も常習癖性が高く、危険な物質の一つである理由
この内容を受けてかわかりませんが、2014年に、WHOが科学的な検証によって、砂糖の摂取に関するガイドラインを発表しています。
それによると、1日の摂取カロリーの5%以下にすることが望ましい、としてます。
これは、1日の総摂取カロリーによって量が変わるのですが、わかりやすく1日に2000キロカロリーを摂取すると考えると、コーヒーや紅茶に使うティースプーン6杯程度ということになります。
通常の食事をしていれば炭水化物を適量食べているはずなので、その程度の砂糖で十分といえば十分です。
しかし、砂糖には常習性は中毒性があるために、その程度で抑えることができない、というのが最近言われていることですが、それは本当なのでしょうか?
確かに、砂糖がたくさん入っているものを飲んだり食べたりすると、血糖値スパイクが起こり、身体からインシュリンが大量に分泌されて血糖値が急激に下がることで、低血糖になり砂糖が欲しくなる、ということはあります。
しかし、それと依存症や中毒性とは全く別のものであるというのが専門家の意見です。
砂糖に中毒性があるという主張は、脳の報酬システムの快楽経路を刺激するためと言われます。
それはニコチン、モルヒネ、コカイン、アルコールが快楽経路を刺激する過程と同じだとして、砂糖にも常習性があると主張しているのです。
しかし、この指摘はそもそも依存症の概念を間違っていると考えられています。
依存症の概念は、もともと人間が摂取する必要がない物に対して作られている基準であるということをしっかりと認識する必要があります。
先ほどのニコチン、モルヒネ、コカイン、アルコールは、人間が摂取する必要がないものですよね。
しかし、砂糖に関しては、糖質ですので人間は摂取する必要があります。
ですから、薬物と砂糖を全く同じように考えることはできないということです。
そして、砂糖を食べると、脳の薬物を使用したときと同じ部分が活性化する、などということも言われますが、これは本当に都合よく砂糖を悪者にするための解釈がなされています。
脳はどんな報酬を見せても同じように反応するそうです。
映画を見せたり、ネットサーフィンをしていたり、好きなマンガを読んだりしても、脳は同じように反応するので、先ほどの研究は、「うん、脳はしっかりと機能しているな」ということを証明しているだけなのだそうです。
なんとも都合の良い解釈ですね。
私たちとしては、しっかりとした研究結果だけを報告してもらいたいものですが、やはり話題になりそうなものだけを、メディアなどで報道されるとそれが本当なのだと信じてしまいがちです。
栄養学については白か黒かの結論はない
そのため、私たちは自分でどうするべきかということを考える必要がありますが、前提として持っておくべき考え方が以下のことになります。
様々な栄養が私たちの身体には必要になるのですが、どのような栄養が必要なのかとかどれぐらい必要なのか、ということを研究するのは栄養学です。
そしてこの栄養学に関しては、通常は白か黒かの結論というものは出ません。
どういうことかというと、ワインやその他のアルコールは、身体によい、身体に悪いという意見はたくさんありますが、通常の場合は一日に1杯のワインを飲む程度では、毒になることはありません。
しかしながら、1日に10リットル飲んだ場合は、おそらく死んでしまうか、かなり健康に悪影響があるはずです。
この現象は、用量感度と呼ばれるもので、毒物学の基本的な教義となっているものでもあります。
この考えは当然ですが栄養学にも当てはまり、そして砂糖にも当てはまるものです。
砂糖に限らず、ほぼすべての食材に関しては、この用量感度があるにも関わらず、この食材が悪い、この食材は毒だ、ということを主張する場合は、それを無視して白か黒かをはっきりさせるような主張がなされます。
すなわち、用量感度について何も言うことなく、善悪を述べているような場合、つまり少しでも食べたり飲んだりすると毒になる、というような主張は疑ってかかるべきということになります。
砂糖は摂りすぎるべきではない、というのは?
アンチエイジングや美容のために砂糖を避けるということは、やはり正しい選択だと言えます。
健康促進のためにも、やはり砂糖を食べる量を減らすということはとても重要です。
血糖値スパイクが高くなることで様々な悪影響が出てきてしまうのですが、一番懸念すべきなのは、酸化糖化のリスクが血糖値が急激に上昇することで高くなってしまうことです。
ですから、日ごろから砂糖を摂らないようにするということは重要です。
しかし、ここで考えるべきことは、摂りすぎるべきではない、ということであり絶対に摂るな、ということではないということです。
先ほど申し上げた通り、すべての食材には用量感度があり、摂りすぎなければ問題ないものばかりです。
また、砂糖は全く摂らなければ死んでしまうというものではなく、普通の食生活をしていれば足りなくなる、ということはほぼないものです。
砂糖が嫌い、食べたくない、ということであればシュガーフリー生活をすることも素晴らしいことです。
しかし、通常は砂糖が好きな人がほとんどであり、それは生きるためではなく、甘いものを食べることで、幸せを感じたいということが理由なのではないでしょうか。
その幸せになりたい、という感覚もアンチエイジングや美容、そして健康促進にはとても大切だと私は考えています。
ですから、用量感度を理解して上手に砂糖と付き合うことがとても重要ですね。
まとめ
食材と健康に関しての情報は、どうも両極端になりがちな気がしています。
しかし、食材に関しては善か悪かで白黒をつけることができる性質でない、というのは常に念頭に置いておくべきことだと思います。
そして、様々な食材を制限なく、そして適切に摂ることがアンチエイジングや美容にはとても重要であるということも事実です。
いろんな食材を制限なく、たくさんの種類を食べることができれば、いろんな栄養素や成分を体内に摂り入れることができるため、それがアンチエイジングや美容にとても効果的に働いてくれるからです。
シュガーフリー生活に関しても、それ自体が楽しい、快適というのであれば、それは続けるべきだと思います。
しかし、砂糖を使うことで料理がおいしくなったり、スイーツをたまに食べることで幸せになれるのであれば、砂糖との上手な付き合い方を考えることが、アンチエイジングや健康のために大切なことです。
食材について、身体に悪いという情報を見て心配になった場合は、用量感度について考えてみたり、全く逆の考え方を発表しているものがないか探してみてください。
きっとたくさん見つかるはずです。