アンチエイジングに1日1食はマイナス?正しいダイエット法について
若さを保てない間違ったダイエット法はあるのか?
ダイエットを考えている方は、スタイルよく保って若さを保ちたいというのが目的だと思います。
もちろん成人病予防や、肥満を解消するように言われたような場合もあると思いますが、美しくありたい、かっこよくありたいということは、どこか根底にあるのではないでしょうか?
しかし、そんなダイエットを心がけて、逆に老化が進んでしまっては全く意味がありません。
そこで、少しダイエット法について、どのような効果があるのか見てみたいと思います。
「1日1食健康法」はダメ?
血糖値の関係で、朝食、昼食、夕食の関係を調べた研究があります。
血糖値スパイクを起こしやすい食事の取り方はどのようなものか、という研究なのですが、その結果は朝食の摂り方で昼食の時の血糖値の上がり方が変わるという報告があります。
正確には「セカンドミール効果」というものです。
これは、GI値を提唱したジェンキンスは博士が、1982年に発表した概念です。
朝食(ファーストミール)が昼食(セカンドミール)の後の血糖値に影響するというおのです。
きちんと朝食を食べると、昼食後に血糖スパイクを起こしにくいことがわかりました。
血糖スパイク、または血糖値スパイクと呼ばれる現象は、食後に起こりやすい現象で、老化を予防するためには、この血糖値スパイクを起こさないようにすることがとても大切です。
どんな朝食でもよいというわけではないようで、タンパク質を含んだものを食べると、セカンドミール効果が確認できるようです。
ですから、ごはんだけなどの朝食よりは、ごはんと卵、味噌汁のような朝食が良いということになります。
朝食を抜いたり、長時間、空腹の状態でいると、タンパク質の糖化反応がぐっと上がってしまい、昼食後に血糖スパイクを起こしやすくなるということです。
ところが、「1日1食健康法」として夕食しか食べない健康法、あるいは食事回数を減らした ダイエット法がテレビや書籍などで話題になることがあります。
映像などですごく痩せました、というようなものを見ると、取り組んでみようと思う方も多いでしょうね。
しかし、1日1食健康法などは、一時的に見れば体重の減少などに効果があるかもしれませんが、「糖 化ストレス」の面から見れば、老化を早めるAGEs(糖化最終生成物)が溜まってしまいますから、おすすめできるダイエット法ではないのです。
なぜなら糖化は血糖値が急激に上がったときに起こりやすいからです。
「食事は1日1回、夕食だけにしなさい。その代わりなんでも好きなものを食べていいですよ」といった説明を聞くと非常にわかりやすく、守りやすいルールです。
何でも食べてよいのなら、我慢する必要がなさそうだから取り組もうとしたり、太りやすい体質で、「カロリー計算なんかしたくない」というめんどうくさがり屋さんには簡単な方法ですから、楽ではあるでしょう。
しかし、夕食時間までずっと空腹を耐え忍んでいるのは、少なくとも「糖化」という面ではマイナスでしかありません。
したがってダイエットの効果はあるかもしれませんが、アンチエイジング、つまり「若さ」は保つことができないからです。
このような間違ったダイエットをすると糖化が進んでしまい、体が老けてしまいます。
ダイエットと行って、見た目が急激に老けてしまう方がいらっしゃいますが、原因は糖化にあるのかもしれません。
「食間」を空けることがポイント
では、1日に摂取するカロリーは同じにしておき、食事の回数を4回、5回と増やすのはどうでしょうか。
血糖値を一定にするために、このような食事法を取っている方も多いかもしれません。
つまり、「1回当たりの食事量を減らす」ことで回数を増やすことになります。
しかし、量を減らした食事を複数回するというのは、脂肪や糖質の代謝に関係する成長ホルモンに悪影響を与えるので、これまたおすすめできません。
成長ホルモンを出すには、胃の中を空っぽにしてから食べたほうがよいからです。
少なめの朝ごはん、午前10時におやつ、少なめの昼食、3時のおやつ、午後5時にもおやつ、午後7時に夕食というような食事をしている方。
このように食事とおやつを小分けにし、のべつまくなしに何回も食べていると、お腹が空っぽになるひまが全くありませんね。
胃排出時間(Gastric Emptying Time)という言葉があります。
これは、胃から腸に食物が送られる時間のことで、ふつうの人で3~4時間(遅い場合で5~6時間)です。
そのくらいの時間を食間として開けておくと、胃は適度に空っぽになってくれます。
なお、空腹になるまでの時間は、加齢とともに遅くなります。
また、食事に脂っこいものが多い場合や、ストレスで考えごとをしていても遅れます。
朝食を8時に食べるとすると、お腹が完全に空くことを考えると昼食は13時頃、夕食は18時頃に食べるとベストです。
以上を踏まえると、「朝食を抜かずに1日3回の食事を摂る」のは理に適っています。
とくに 子どもは、朝食を抜くと逆に肥満になりやすくなると言われています。
昼食時に血糖値が急激に上昇する血糖スパイクが起こるからです。
朝食はブレックファーストといいますが、これは「断食を破る」という意味です。
ファーストは、最近言われるファスティングのingをなくしたもので、断食の意味です。
そして、breakはお分かりの通り、破るという意味ですから、断食を破るという意味ですね。
一番お腹が空いている時間帯は、夕食から次の日の朝食までの間というのが自然の状態です。
その長い時間の間に血糖を維持するための「グルカゴン」というホルモンが出ています。
血糖を維持する(=上げる)ホルモンが出ている状態で朝食を抜き、さらに4~5時間の空腹状態を続けると、血糖値を上げるホルモンがさらに出てしまいます。
血糖値を上げるホルモンが、たくさん出ている状態で昼食をとるのですから、結果はすぐにわかりますね。
夕食の時間に注意
ただ食事をとる方法で、1つだけ注意しておくことがあります。
先ほど「食間を5時間くらい空けて、1日3食摂るのは理に適っている」と述べましたが、夕食を食べる時刻は意識してください。
仕事帰りの場合、夕食が午後9時とか10時になってしまうことがありますが、できれば夕食は午後6時か7時くらいにすませて、食べ終わってから就寝までに少なくとも2時間は空けたほうが良いです。
これは消化不良の防止と睡眠の質を保つためです。
お腹の中に食物が入っている状態で寝ると、寝ていても身体は消火活動を行わなければならないため、深い睡眠を阻害する可能性があるからです。
健康な人が減量し続けるリスク
食事を「1日1食にする」というのは、肥満解消のために、まず体重を落とさなければならないという、短期間の「明確な目標」がある場合はいいと思います。
四の五の言っている暇がなく、すぐに体重を落とす必要があるような場合には、やはりこのような食事の制限が必要な場合があります。
けれども、健康な人が、このようなダイエット法を、長期間 にわたって続けるとなると、体內的なデメリットが大きくなります。
ここでダイエットを行う前に、知っておいていただきたいことがあります。
「すごく太っている人、あるいは糖尿病の人の治療目的の指導と、健康な人のための健康増進の指導は明らかに違う。」
ということです。
状況に応じて、食事や健康法は変えるべきなのです。
糖尿病の人に対して、「タンパク質 : 脂質 : 炭水化物の割合が2:2:6のバランスがよい」 などと食事の基本をいっている余裕はない場合があります。
マイナスの状態を少しでも早くゼロくらいまでに戻すべきで、その場合は医師の指導のもと、一時的にかなり極端な栄養指導もせざるをえないことがあります。
もちろんその場合は、独りよがりではなく、医師と相談しながら行う必要があります。
体重が100kgの人を80kgにするために「1日1食」を提案することもあるでしょう。
また、度を超えた肥満の人に対し、欧米では脂肪を除去する手術もよく行なわれています。
それは、肥満をほうっておくと、いろいろな病気を誘発するからです。
しかし、ふつうの健康状態の人に、「1日に食事を1回にすれば体重を落とす効果あり」というような極端なことを実行させると、プラスの効果よりも、もともと備わっていたプラスの部分がゼロ、もしくはマイナスに陥るリスクのほうが大きくなります。
まとめ
朝食を抜くほうが健康に良いという研究もたくさんあります。
朝食を抜くと太りやすく、成績も悪くなるという研究結果は、観察研究によるもので、太りやすくなったり、成績が悪くなる原因が、本当に朝食かどうかはわからない、ほかの原因もあるはず、というような意見ですね。
今回の話は、血糖スパイクとの関係が中心となっています。
血糖スパイクを考えると、朝食はしっかりと食べるべきという結果です。
朝食を抜くと体重が減るという説もあり、実際体重が減ることもあるのですが、その結果、体内で老化が進んでいたらどうでしょうか?
とはいえ、食欲がないにも関わらず、朝食を食べるということも不自然ですので、その場合はフルーツなどだけでもよいと思います。
リンゴなどのフルーツは食物繊維がたくさん含まれていますし、抗酸化物質も含まれているため、腸内環境を整えてくれる効果もあります。
朝食とはできる限り上手に付き合っていき、アンチエイジングを効果的に行いたいですね。